「たつき監督降板騒動」の経緯から、けものフレンズ二期の今後を考える
遂に満を持してけものフレンズの二期PVが公開されました。(どうやらけものフレンズ2というタイトルに決定された模様です)
しかし世間を沸かせた超人気作にしては随分と芳しくない反応が多い。
というわけで今回はその理由と経緯についてまとめてみました。
そもそもけものフレンズとは?
けものフレンズは2015年3月に配信が開始されたアプリ、いわゆるソーシャルゲームが原作となる一連のプロジェクトの名称となります。
最近はそんなに珍しいものではないかも知れませんが、割とストーリーの凝った文章を読ませてくれるタイプのソシャゲであり、ケロロ軍曹で有名な漫画家吉崎観音氏がデザインを担当するなど中々に力の入った作品と思える要素が満載でした。
しかしそんなアプリけもフレがリリースされたはいいのですが、あまり人気は出ず翌年の2016年12月にはサービス終了しています。今時擬人化とか吐いて捨てるほどあるしね
アプリ配信元であるネクソンもぶっちゃけあのアプリは売れなかったよね(要約)との発言を残していることからも、あまり振るわなかった事が容易に想像出来ますね。
そんなこんなで、大成功を博すソシャゲが持て囃される一方でサービス終了してひっそりと闇に葬られていくアプリ達も珍しくないこの世の中、けものフレンズもその内の一つとしてひっそりと消えていくのかと思われたのですが...
オワコンプロジェクトだったけもフレがまさかのアニメ化!?
しかしけものフレンズは不死鳥のように蘇った
最早力尽きたと思われたけものフレンズプロジェクトですが、何故かアニメ化が発表されました。
発表当時も、なんでアニメ化したか謎、ゾンビアニメ、地獄のタイトルなど散々な言われようであったのが未だに印象に残っています。
このようなメチャクチャな貶され具合でしたが、その理由としてアニメの放送は2017年1月からと何故かアプリが配信終了(アプリ終了は前年12月)してからの放送となっている、超低予算としか思えないアニメーションのクオリティなどが挙げられると考えられます。
要するに、当時のどんな作品かが明らかとなっていなかった状況では敗北する未来しか見えない消化試合の処理をさせられているアニメと思われていた訳です。
実際その予想は正しく、一話配信当時のコメント・レビューは虚無・軽い地獄・ガチでキツい等、否定的な意見で溢れかえっていました。
更には、20分にわたる苦行・一話切り安定などアニメーション作品としては致命的な視聴者が見ていられないという状況となり、アニメ配信開始当初は非常に苦しいスタートを強いられ、二話・三話と継続視聴しても最早得られることは何もないアニメかのように思われていたのですが...
アニメけものフレンズの意外過ぎる大反響
アイツ、絶滅していなかったのか...
全話視聴してから再び最初の方を見返すと、そこら中に伏線が張られていたりしてかなり丁寧に作られた作品であることがわかるのですが、まだ放送中の当時このアニメの丁寧さに気付けていた方は少なかったと思われます。
そんな中でターニングポイントとなったと思われるのが、↑の画像のツチノコちゃんが登場した四話です。
基本的にこのアニメ「けもフレ」はほのぼのとした日常系を意識した作品となっているのですが、実は随所にその空気を壊さない程度に不穏な要素が散りばめられていたのです。
筆者もまさかこんなクオリティの作品が作りこまれている訳が...といった感じで視聴を継続していたのですが、この四話はそれまでの話とは違い不穏な要素は間違いなく存在し、この作品はバッチリ設定を練ってあるぞ!という制作側からのメッセージを突き付けてくるものとなっていたのでした。
当然その丁寧な作りこまれ具合と、まさかまさかの作品が...というダークホース的な話題性で
超 超 超ヒットを飛ばします。
ちなみにニコ生での公式配信の推移がこちら
一話 来場者20772人 コメント12005 とても良かった41.3%
二話 来場者21352人 コメント13872 とても良かった77.7%
三話 来場者28224人 コメント22275 とても良かった89.4%
四話 来場者33035人 コメント32074 とても良かった95.9%
五話 来場者99476人 コメント90192 とても良かった95.9%
.
.
.
如何でしょう?
実際に数字を見てみると、四話放送後の当時の人気爆発ぶりが窺えるのではないでしょうか。(ちなみにこれ以降の話でもハチャメチャに来場者数などは増大していきます)
この後も大盛況のまま最終話を迎え、魔法少女まどか☆マギカなどにも匹敵する大ヒットアニメとして数えられることなどもありました。
そして、何よりも大盛況の中で惜しまれながら最終話が放送された事や、最終回の終わりのシーンにうっすらとつづくの文字が隠れていることもあって二期の放送が待ち望まれていたのですが、
「けものフレンズ・新作映像制作」が決定いたしました。詳細情報は引き続き当アカウント、公式HPにて最速でお届けいたします。
— けものフレンズ@公式アカウント (@kemo_project) 2017年3月29日
さらに、新たなプロジェクトも準備中ですので、発表をお楽しみに!https://t.co/hsOceguQSmhttps://t.co/R14KoYAKue
このような公式ツイートが発表されたことでファンはさらに過熱。
アニメ放送終了から素早くこの発表がなされたことからもこの作品が様々な方面から期待されていたことが窺えます。
暫くはこのようにけものフレンズプロジェクト快進撃が続いていたのですが、
ある時事件が起こりました...
そう、たつき監督降板騒動です。
たつき監督降板騒動が起こったのはいつ?
そもそもこの騒動が起こったのは2017年9月、けものフレンズアニメ最大の功労者であるたつき監督がツイッターで呟いたツイートが発端となっています。
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
— たつき/irodori (@irodori7) 2017年9月25日
このようなツイートが前触れなく投下されたことで一時ツイッターを中心としたインターネットコミュニティで大炎上となりました。
オタク界隈、ひいてはインターネット上で最も旬な今アツい作品となっていただけあって騒動から一年近くが経過しようとしている今日ですら各所でこの話題に言及している方を見かける程です。
期待が高まっていただけあって、ファン及びそれらを取り巻く人々によって収集のつかないほどに言及・論争・対立煽りが繰り広げられました。
特に幾つかの理由を根拠としてKADOKAWAの陰謀である、とある記事などが発端となってだんまりを決め込んでいるデザインの吉崎観音を黒幕扱いするなどの流れもありましたが、これについては結局明確な根拠は発掘されず真相は闇の中となってしまっています。
結局けもフレ炎上事件は何がマズかったの?
重要なのはそこです。
何故こんな大炎上に発展してしまったのでしょうか?
幾つか理由を挙げていきたいと思います。
1.たつき監督のツイッターでの発言から始まってしまったこと
まず、始まり方からしてあまりよろしくなかったと言えるでしょう。
インターネット上で公式の場ではない個人としてのツイートによって重要な通達がなされてしまったので、まず普通の人が見ればカドカワがたつき監督を何らかの事情でけものフレンズのアニメプロジェクトから締め出したように見えてしまいます。
例のツイートを見ただけでは不当に解雇された会社員のように見えるのも事態を悪化させてしまったと考えられるでしょう。アニメ監督に人権は無いのか
やはり降板させられたという事にばかり集中させてしまうような状況になってしまったのがまず炎上した理由と言えると思われます。
2.その後のけものフレンズプロジェクトA・ヤオヨロズの発言が食い違っている
突然騒動に発展してしまったことでもちろん様々な事情はあったと思われますが、
どの組織に関してもだんまりを決め込む期間が長い上に消費者への説明になっていない説明が多いのです。
更に炎上後すぐの段階での各組織・各人の言及では互いに食い違っている発言が多かったのでした。ツイッターでネットバトルしてる場合か
↑が降板騒動後に掲載された公式の声明
9/27の公式発表にあった情報共有についても、12.1話は委員会へ報告の上制作しておりますし、各企業とのコラボ動画に関しても委員会からの正式な依頼の元で作りました。
— 福原慶匡 (@fukuhara_ystd) 2017年12月27日
コミケにおける同人誌についても吉崎先生からの許可があり、その際のご提案により特別許諾と明記して頒布しました。
↑がたつき監督の所属するアニメ制作会社ヤオヨロズの福原Pのツイート
┐(´д`)┌ヤレヤレ
たつき監督の発言からしてもそうですが、まずもってヤオヨロズが辞退したいと申し出た、という所から食い違ってしまっています。
福原Pの発言を見るに、たつき監督及びヤオヨロズが個人(公式ではないとしている)で公開している動画などに関しては著作権絡みが正直怪しいと思うのですが...(製作委員会がそこを良しとしなかった可能性もあります)
確かにクリエイティブな職に携わっている以上作品の利権に関する意識は重要であるとは思われるのですが、それだけで企業同士の関係までバッサリ...というのは一般的な感性からして納得できないものがあるのではないでしょうか?(極端に企業・委員会に損害をもたらすような物を公開したわけでもないため、厳重注意で良好な関係を続けるという道もあった筈です)
真意が伝えられなかったので少し補足。
— 細谷伸之@テレ東⇄行こう一緒に!(幕張に) (@nobutx_0517) 2017年12月31日
個人攻撃、と言うのは何か権力を握っている誰か個人に行き着くと言うことではないです。
全ての話は細分化していくと言い出した人がいて、それはその時々によってまちまち。僕の時もあれば他の人のこともある。(続
でも、その提案にみんなで意見を出して集約して通る時もあれば却下になる時もあるわけで。だからその個人を特定しても本質ではない。と言うことが言いたかったのです。
— 細谷伸之@テレ東⇄行こう一緒に!(幕張に) (@nobutx_0517) 2017年12月31日
それはきっとヤオヨロズさんも一緒。
組織、チームってそう言うものかと。
別に圧力があって書いてるわけじゃないですよw
↑テレ東のアニメプロデューサー細谷氏の発言(ツイートはニコ生における説明の後の補足目的で呟かれたもの)
発言に責任は取らないしお前らに理由の説明なんかしないぜ!
部下が問題を起こした時に上司がいっぱいいるから誰の指示のせいで誰の責任かは不明!みたいな話です。
誰が良い悪いではなく、何が問題でヤオヨロズと決裂する事になったかを説明する必要があると思うのですが...
3.結局不透明なまま何も説明されずに終わってしまった
ここまで見てきた通り、今回の騒動は関係者各位がまとまった意見・見解を公式に発表するというよりツイッター等で各人がポツポツと呟くことでどったんばったん大騒ぎになってしまったというのも大きな原因となっていると考えられます。
何故ヤオヨロズがけものフレンズプロジェクトから締め出されることになってしまったのか?
この理由がハッキリと説明されれば賛否はあれど、犯人捜しでギスギスした空気が生まれる・企業、個人としての信用を損なう等の事態を避けることは可能であったはずです。
二期決定が告知され、最早この騒動も過去の事件として扱われてしまっている現在ですが、何らかの形でこの何故?が解決されることを祈っています。
二期PV公開も驚きの低評価!その理由は?
高評価3700に対して低評価が26000!
(´ε`;)ウーン…
桁が一つ違いますね
ぶっちゃけた話、絵はかわいいし動きもぬるぬるです。
一般的に言うアニメのクオリティでは一期を超える出来なのではないでしょうか?
にも拘わらずこの二期告知PVは空前絶後の低評価の嵐です。
理由に関してですが、言うまでもなく上記の消費者に対する説明責任を果たしていないのが原因でしょう。
制作側としてはどう思っているのかはわかりませんが、二期そのものを好意的に捉える・否定的に捉える以前にユーザー側は一連の騒動に対して全く決着が着いたとは考えていないのです。
悪い言い方をすると、どうせイマドキの飽きっぽいユーザーなんて時間が経てば全部忘れて大喜びでついてくる。そう考えていたのかも知れません。
しかし実際はそうはなりませんでした。
今回のこの評価は作品に対してのものではなく、製作委員会に対する信用度を示すものとして捉えることが出来ると思います。
このような評価に対して制作側はどう考えるのでしょうか?
まぁ監督交代したし最初は仕方ないでしょ
こう考えるのかも知れません。
しかし、これだけの問題に発展した以上、何かを感じて欲しいと考えるのは一人のファンとしては仕方のないことだと思われます。
最後に
こういった難しい問題なので最早一個人・一企業の問題ではなく日本社会そのものの問題になってしまうのですが、出来れば今回の一件でこのような体制に対する疑問点・問題点、その根元にある社会の空気が少しでも改善されると良いですね。結局売れれば万事オッケーで終わっちゃうけど